4月。憂鬱な月。

　4月。4月というと、どんなイメージを持つだろうか。複数思い浮かぶだろうが、始まりや希望など明るいイメージを持つ方も多いはずだ。しかし、反対に終わりや不安を感じる方も一定数いらっしゃると思われる。何を隠そう私がそうなのだから。

　毎年憂鬱な時期だ。何が憂鬱かだって？「始まり」があるからだ。

　入学に入社、そして今年は新たな仕事だ。班が変わるのだ。

　人は変化を嫌うらしいが、どうも私は人一倍変化を嫌っているらしい。慣れた仕事をずっとしていたいタイプの人間だ。

　ネットで検索をしたり、同じ境遇の友達に連絡を入れたり、とにかく不安を払拭しようと、もがいている。地の底を這うように来たる日を迎えようとしていた。

　しかし今年はそれも幾分ましである。その理由は釣りだ。例年4月の中旬から後半にかけて安定してキスが釣れ出す。この時期のキスは、サイズが大きく、餌を荒食いするため、釣っていて実に面白い。キス釣りの面白さを再認識する時期である。今年は新たにロッドも新調したので、尚更期待に胸を膨らませているとこだ。

　そして今もっとも勇気を貰っているのが、幼馴染の友人の存在だ。その子は今、大阪にいる。長らく務めた会社を辞めて、勉強のために行ったそうだ。なんとも私の悩みがちっぽけにみえてくる。

　「怖いし不安しかない」その友人はそう言った。そりゃそうだ。私ならストレスでクローン病が再燃し入院まっしぐらだ。

　友人はこう続けた。「でも自分のスキルアップのためだから頑張るしかない」

　率直な言葉だが、なんとも頼もしい、勇気を貰った。

　釣りや友人のおかげで今年の4月は、なんとか乗り切れそうだ。私もいつか不安を乗り越え、勇気を分け与えれる人になれるかな？